2012年5月14日月曜日

講座報告「北海道の芸術 この50年」~演出家 守分寿男の描いた北海道~


 平成23年度に実施した講座の実施報告を、会報誌「ちえボラLINK」から転載します。
 今回は平成23年11月にアート班で実施した講座「北海道の芸術 この50年」です。




 真っ青な空、小高い丘を全力でこちらに駆け下りる一頭の牡馬。
 青い空と光が溢れた北国の秋の草原を疾走する逞しい四肢が実に美しい。

 若く血統つきのサラブレッドでなく、少し馬齢を重ね重き荷を引く
ばんえい競馬用の肢体は無骨で逞しく、野にあると一層輝く美しさで迫ってきます。

 この撮影は丘のこちらに雌馬を配して鳴かせ、
丘の向こうの牡馬を離して走らせたそうです。

 昭和48年9月30日東芝日曜劇場「ばんえい」の1場面です。
 この年の芸術祭優秀賞とギャラクシー個人演出賞(守分寿男氏)を受けています。

 テレビカメラによる撮影技術を駆使し馬や風景の撮影を通じて
登場人物の心象表現に高めるユニークな演出が認められました。

 使い方が素晴らしいのでしょう、
喋れたならこの馬は最優秀助演賞に輝いたに違いありません。

 そうウマくはいきませんでしたが。

講座風景

 稀代の女優田中絹代と名優笠智衆が主演の「幻の町」は
東芝日曜劇場千回記念番組(昭和51年2月8日)。

 20年住んだ樺太から引揚げてきた老夫婦が、
出会い・結婚・娘を育てその子を埋めた、かの地の思い出を
形にしようと地図つくりを始め、どうしても分からぬ所を埋めようと
訪ねた厳寒の小樽での1日の物語。

 台本を読んで快諾した田中が、寒いからと出演を渋る笠を
「役者たるものこれが最後の作品と言う、それくらいの覚悟が必要よ」
と説得して実現した企画。

 軒先から長いつららが下がる小樽の家の前で
ひょんなことから口付けの話になり

  「50年連れ添ってますが、1度もしてもらったことありません」

  「ほーか、して欲しいか」

  「はい」

と言われ、笠が素早くキスした後、
少年のように後ろを向いてスキップしました。

 飄々とした笠の心のときめきが伝わってきました。
 これもこの年の芸術祭優秀賞を頂きました。

 「北海道の芸術 この50年」1回目映像分野
~守分寿男の描いた北海道~長沼修講師の講座の1コマです。

2012年5月13日日曜日

講座報告「私たちの知りたい水の話」


 平成23年度に実施した講座の実施報告を、会報誌「ちえボラLINK」から転載します。
 最初は平成23年5月に環境班で実施した講座「私たちの知りたい水の話」です。



平成23年5月13日から6月3日の毎週金曜日、日常生活を支える都市インフラ・地球環境に対する理解と関心を深めることを目的として企画した、水をテーマにした講座を実施しました。

講座の第1回目と第3回目は、北海道大学の岡部聡教授から、私達の使用する水がどのようにして供給されているのか、またその安全性、水の価値などを学び、今後水ビジネス、水道の民営化、森林の買い占めなど、国際的な動向に注目していくことなどを学びました。

1回目の講座風景

次に、さっぽろ健康スポーツ財団中央健康づくりセンターの管理栄養士さんから人にとっての水の役割、水分不足になると動脈硬化が起こり心筋梗塞になることや、痛風・関節痛、熱中症を引き起こすことも学びました。

最終日は、札幌市水道局給水部・計画課長と課員3名より、札幌市の水道の歴史、水道が各家庭に届けられる方法、札幌市が行っている災害が起きたときの水の供給について学び、浄水場で水をきれいにする方法を受講者全員が実験に参加し、その仕組みについて理解を深めることが出来ました。

水をきれいにする実験中

今回、東日本大震災での放射能による水への影響や人体への害はどの程度なのか、また、放射能を取り除く処置はどのように行っているのかなど、講座の中で分かりやすく解説してくれたこともあり、放射能に対する理解を深めることが出来ました。

命の水ということが実感され、水を新たな観点で見ることが出来きるようになったのではないかと思います。